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聖アンジェラ列聖200周年


私たちの母、アンジェラ・メリチが聖なる女性として教会から公に認められてから今年で丁度200年になります。

アンジェラの聖性について私たちはいろいろな面から見ることが出来ますがその中でも、時代の潮流に流されず、現実をしっかりと見つめ、人々と共に大胆に福音を証ししていく力強い彼女の姿に注目したいと思います。

アンジェラが生きた16世紀はルネッサンスを謳歌する反面、至る所で戦乱が続き社会全体が混乱に満ちていました。女性たちの立場はないがしろにされ貧富の差も広がっていました。また教会も聖職者は世俗化し修道院も形骸化し人々は心の拠り所を見失っている状態でした。

アンジェラはこのような状況の中で、若い頃ブルタゾーで受けた不思議な出来事を思い起こしたのではないでしょうか。収穫の時期、突然天が開け亡くなったお姉さんが天使たちと共に現れ、アンジェラに若い女性たちのために修道会をつくるようにとの神様からの呼び掛けを聞いたのでした。

アンジェラは夢の実現までの長い間、日々祈り、人々に励ましと助言を与えながら神様の御旨をさがし求め、修道会を創立したのは40年近くも後のことでした。混乱した社会を救うのは神に徹底的に身を捧げる女性の存在が必要で、しかも修道院という囲いの中ではなく家庭にいて自分に与えられた仕事を続けながら福音の証となるという今までにない大胆な発想の下に行われたのです。これは当時、修道院に入りたくても経済的に許されない女性たちや囲いのある修道院に入る事を躊躇する女性たちには大きな福音でした。

「聖なる霊が私たちの心に送り続けておられる勧めとインスピレーションに従ってください。私たちが良心を清く汚れなく澄んだものとすればする程、聖霊のみ声はもっとはっきりと聞こえてくるでしょう。」(会則8章)

本部修道院の聖堂(仙台)

「あなたがたの揺るぎない砦は、いつもイエス・キリストの御足許にありますように。すべての娘たちと共に熱心に祈ってください。」(最後の遺言)

私たちはアンジェラの修道会創立という大胆な発想と実現が神様との深い交わりによる祈りのうちに行われたということを確信することが出来ます。

「祈りなしの活動は有り得ず、活動なしの祈りも有り得ない。」と良く言われますが、アンジェラはこの言葉通りに生きた方と言えましょう。

翻って、現代社会の状況を見る時、アンジェラの時代と似ていることの何と多い事でしょうか。

神が創造したこの世界は人間の利欲のために環境は破壊され、戦争、内乱が絶えません。貧富の差は広がり人々の関わりも希薄になって来ています。

今、アンジェラが生きていたら、私たちに何を言われるでしょうか。

列聖200周年に当たり、風に逆らって立つアンジェラの雄々しい姿を心に描きながら祈りのうちに考えたいと思います。